小説にあてられるなんておかしな言い方ですけど、これはもうあてれらたと言ってもおかしくないです。
読み終わってから呆けたように日々を過ごしています。小説の中に入り込んでしまっていて気づけば
登場人物のことを考えてしまっています。いい小説に出会った後はたまにこういう状態になって
日常生活を送れなくなります(笑)

直木賞受賞してだいぶたちますがなんとなくいやーな予感がしてずっと読むのを先送りにしていました。
読んだらあてられるのを無意識で察知していたんじゃないかと。実際号泣しましたからね。
これを酷評しているレビューが目立ちますが、選考委員の林真理子さんがこの作品を評して



読み終わったらぱあっと青空が広がる



とおっしゃていました。そして



受賞作にこんなことをいうのはなんなんですが、本当に欠点は多い(笑)。
上巻と下巻で整合性がとれないとか。でもそれをしのぐ強いメッセージを感じました。




確かにそうなんです。酷評してる人は小説として練れていないってことを指摘して駄作と言ってるんだと
思うんですが、小説としての完成度というより「熱」が感じられたんですよね。
すんごいメッセージがこの上下巻という長い話の中に込められてるんです。そのあまりの強さに
私はあてられてしまいました。毒気を抜かれたとでもいうような。
なんでこんなにグッときたかと言えばおそらく自分と同世代の作家だからでしょうか。
小説に出てくる時代背景とかその他諸々すごく響くエピソードがたくさんありました。
幼稚園でのクレヨンを交換するくだりとか。それも伏線となってあとで回収されたときにはもう(笑)
このボリュームでないと伝えきれないことなんだなっていうのがひしひしと伝わってきました。
さすが作家生活10周年記念作品だなという感じ。渾身の力を込めたのがびんびん伝わってきました。
西さんの作品は初期のはぜんぜん合わなくて放り出したんですが、これからが楽しみです。
しかし小説家だと30代でまだ「若手」なんですよねえ。(受賞当時、西さんは37歳)
一般人だともう中年でしょ。りっぱなおばさんですよ。

今まで30代以下の作家の作品は敬遠してたんですが、「若い」作家が書いた本は浅くてつまんない
っていうイメージを覆してくれた作品でした。
もう直木賞とって2年ぐらいたってますけど、ブックオフに半額で売ってました。
こんないい本を売るなんてどんな奴だ!と久々腹が立つぐらい素晴らしい作品でした。
この本のせいで寝食忘れましたからね。またきっと筋肉が落ちました・・・。